中医学では、ひざ関節痛や腰痛といった関節や筋肉の痛みを総じて痺証(ひしょう)といいます。
痺証(ひしょう)は古くからある病気ですが、湿度や気温の変化の影響を受けて悪化しやすく、以前は梅雨時や冬季に多かったのですが、エアコンの普及に伴い現在では夏場も注意が必要となってきました。
ひざ関節痛は、加齢によるものだけではありません。
20代30代の方でも、ひざ関節痛を発症したり、ひざに水がたまる、といった方もいらっしゃいます。
ひざ関節痛の原因は人それぞれ異なり、加齢によるひざ関節痛は、その多くが腎機能の低下によるものであり、年齢が若い方のひざ関節痛の原因の多くは、気血の流れが滞ってしまったためです。
しかし、年齢が若くても腎の機能が弱い方もおりますし、50代の方で腎の機能は充分だけど気血の流れが悪くなっている方もおります。
そして問題となるのは「膝の痛み」があると体を動かさなくなり、『痛い』→『動けない』→『ますます痛くなる』→『ますます動けなくなる』という悪循環に陥ることです。
痺症(ひしょう)の型
痺証(ひしょう)には大きく分けて4つの型があります。
型 | 症状 | 外的要因 | 内的要因 |
風痺 (ふうひ) |
痛む部位が移動する。 風があたると悪化する。 |
風邪 (ふうじゃ) |
肝 |
湿痺 (しっぴ) |
痛む部位は固定している。 体が重だるい。 湿度が高いと悪化する。 |
湿邪 (しつじゃ) |
脾 |
寒痺 (かんぴ) |
痛みが激しい。 関節の変形がみられる。 冷やすと悪化する。 |
寒邪 (かんじゃ) |
腎 |
熱痺 (ねっぴ) |
赤く腫れて熱をもつ。 運動障害。 温めると悪化する。 |
熱邪 (ねつじゃ) |
心 |
3つのポイント
痺証(ひしょう)は大きく3つのポイントで考えて、対応すると良いでしょう。
邪気の侵入を防ぐ
痺症の初期段階は、主に風邪(ふうじゃ)・湿邪(しつじゃ)・寒邪(かんじゃ)・熱邪(ねつじゃ)といった邪気(じゃき)の侵入によるものです。
邪気は他の邪気を引き連れて、経絡(けいらく)に入り込むといった特徴があります。例えば湿度の高い日に、湿邪が侵入する際に寒邪を引き連れてくる、といった具合です。この場合、痛みが強くなります。
いずれの場合も、体内に入り込んだ邪気を早めに追い払うことで症状の長期化を防ぐことが出来ます。
邪気を発散する食べもの
しょうが、ねぎ、へちま、シナモン、ボケ(木瓜)、うど、はと麦など
守るちからを育てる
気血(きけつ)が足りなかったり、腎や肝のちからが低下していると、体を守るちから、バリア力、免疫力も低下してしまいます。
体を守るちからが落ちた状態でいると、邪気(じゃき)から体を守ることは出来ません。また、気血の流れも悪くなる一方です。
この状態の場合は、まず気血を補うことを最優先に考え、次に腎肝の機能を正常化することを目指しましょう。
気血を養い、腎肝を補う食べもの
黒豆、黒ゴマ、黒米、山芋、大豆、松の実、くるみ、手羽、鶏マメ(鶏の腎臓)、豚足、鶏がらなど
気血の流れをスムーズに!!!
中医学には『通じざれば即ち痛み、通ずれば即ち痛まず』という言葉があり、気・血の流れが滞ると痛みが起こると考えます。初期の痛みを引き起こす邪気の侵入も気血の流れを滞らせる要因となります。
気血の流れが停滞することで起こる痛みは慢性化しやすく、悪化しやすいので、早めの改善を目指しましょう。
気血の流れを良くする食べもの
よもぎ、らっきょう、八角、山椒の実、紅花、フェンネルなど
体質と弱点にあった漢方薬を
よくテレビCMや雑誌広告のイメージだけで、漢方薬や医薬品、サプリメントを購入される方がおります。「それで改善されましたか?」と伺うと、ほとんどの方が「全然効かなかったわ」「宣伝にだまされた」とおっしゃいます。
「効かなかった」というご意見は、私たちからすると「当たり前」であり、寧ろ「ちゃんと効いた」という方は、自らのことや製品を熟知していらっしゃるか、ラッキーだったか、ということになります。
人間は十人十色、百人百色、みなそれぞれ違います。
中医学には【同病異治(どうびょういち)】【異病同治(いびょうどうち)】という言葉がありますが、同じ症状でも、原因が異なる場合は治し方も異なりますし、違う症状でも原因が同じ場合は治し方も同じになることもあります。
セルフケアとは、自分ひとりで薬を選択して病気や症状を治すこと、ではありません。
漢方薬を用いる際は、漢方薬局に是非ご相談ください。
確かな知識と、経験、実績を積んでおりますので、適切なアドバイスを差し上げることができます。
ひとりで抱えこまず、お気軽にご来店ご相談ください。
心理カウンセリングの有資格者がおりますので、心の相談にも自信があります!ご予算のご相談も承ります。さいたま市のもも木薬局へお気軽にお電話ください。