接触性皮膚炎

「接触性皮膚炎」とは、一般的に『かぶれ』と呼ばれているよくある皮膚疾患です。みなさまもかぶれた経験が一度や二度はあるのではないでしょうか。

強い痒みを伴った赤い発疹がでたり、大小の水疱ができる場合もあります。また、基本的には「原因となる物質」に触れた箇所に症状がでますが、接触の仕方など場合によっては全身に症状がでる時もあります。

接触性皮膚炎には【刺激性接触皮膚炎】【アレルギー性接触皮膚炎】があります。

 

刺激性接触皮膚炎

もともと皮膚に障害を起こす性質をもっているある物質(※)によって起こります。

接触してから数分~数時間後と、割と早く症状が現れます。条件(モノの濃度や接触時間など)が揃えば、子どもでも大人でも誰にでも起こる可能性があります。

(※)ある物質の代表格としては、石鹸や洗剤、灯油、ガソリン、化粧品、植物(うるし、ハゼ、プリムラ、銀杏など)、野菜(玉ねぎ、里芋、セロリ、人参など)、魚、ほこり、衣類の繊維、メッキ、抗生物質、麻酔剤などが挙げられます。

刺激性接触皮膚炎

 

アレルギー性接触皮膚炎

ある特定の物質に対する特異的な免疫反応により起こります。
同じ物質に接触しても発症する人としない人とがおり、発症までの時間は1日~7日と割と遅い反応が特徴です。

発症する人はある特定の物質に体がアレルギー反応を起こす体質になり、その後再度その物質(アレルゲン)に接触して発症します。接触した部位だけでなく他の箇所へも小さな丘疹や痒みがひろがります。

アレルゲンとしては、クロム、ニッケル(ピアスやベルトのバックルなどに使われている)、銀杏、マンゴー、菊科やウルシ科の植物、化学物質(化粧品や香水などに含まれる)、ゴム製品、点眼薬、湿布、軟膏など、様々なものが挙げられます。

また、光アレルギー性接触皮膚炎といって、顔面・手・背中・頚部などに紫外線が当たることで症状がでる人もいます。消炎鎮痛剤(湿布など)を貼った部位や香料を塗った部位に紫外線が当たって炎症を起こす場合も、光アレルギー性接触皮膚炎といいます。

アレルギー性接触皮膚炎病院ではまず、発疹状況や症状、家族歴、既往症などを聞かれ、パッチテストやオープンテスト、プリックテストなどの検査を行う場合もあります。

そして、原因物質を特定し、それに触れないよう伝え、ステロイド外用薬(炎症・症状を抑える)、抗アレルギー剤・抗ヒスタミン剤(痒みを抑える)などを処方、症状が重い場合はステロイド内服薬を短期間使用する、といったことが基本的な流れです。

 

中医学でみる接触性皮膚炎

接触性皮膚炎の基本は、皮膚炎をおこす原因物質を見つけ出し、その原因物質に触れないようにすることです。

そのうえで症状を緩和、治すための対応にあたります。
中医学ではひとりひとりの症状や体質により3つのタイプに分けて考えます。

接触性皮膚炎をはじめ、皮膚疾患は判断が非常に難しいので、自己判断せず必ず漢方の専門スタッフにご相談のうえ、お薬を選ぶようにしてください。

 

熱毒タイプ 湿熱+熱毒タイプ 脾虚湿盛タイプ
急に発症。ピンク色または濃い紅斑。境界が鮮明。膿がでる。黄色いかさぶたになる。表面に丘疹が密集してみられる。局部に灼熱感あり。痒みを伴う。口渇。微熱。舌は赤い。 浮腫を伴う紅斑。境界が鮮明。表面に丘疹が密集してみられる。水疱あり。ただれ、ジクジク、滲出。悪寒、頭痛、発熱。局部の灼熱感あり。舌は赤い。 慢性接触皮膚炎。赤みのない水泡。ジクジク。ピンク色の滲出を伴う紅斑。丘疹。顔色黄色。食欲不振。下痢。舌の色は薄く、白または黄色の苔あり。
 
治則
清熱涼血解毒。
 
治則
清熱涼血。去湿解毒。
 
治則
健脾利湿。解毒。

 

養生法のポイント

  皮膚炎をおこす原因物質を見つけ出し、その原因物質に触れないようにする

  接触性皮膚炎の方は特に胃腸を保護する食生活を心がける
熱をもった箇所はかゆみをおさめる為に冷やしますが、体の内側からは冷やさないようにしましょう。
生もの、あぶらっこいもの、冷たいものの飲食、砂糖の摂り過ぎは体を内側から冷やし、余分な水分を溜めこんでしまいます。また、腹七分にし、胃腸を整えると良いでしょう。

  ストレスは適宜解消する

ストレスは内臓、血管、ホルモン系、お肌に悪い影響を与えます。明るくよく笑う人、精神が安定している人はお肌トラブルとは無縁です。ストレスの影響を強く受ける、溜め込んでしまう、溜息ばかり出る、我慢しすぎてしまう、という方は、自分だけのストレス発散法を見つけましょう。これといって思い当たらない、という方は、まずは寄席やお笑い劇場などのイベントに参加してみましょう。感動する映画を鑑賞することも良いです。たくさん笑って、たくさん泣いて、発散させましょう。

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